マルホランド・ドライブ 公式Facebook
2002年2月16日公開の映画『マルホランド・ドライブ』
デヴィッド・リンチ監督の作品で、ナオミ・ワッツなどが出演。非常に難解なストーリーで一体どういう風に解釈するのか?いろんな考察が出てきて面白い作品でもあります。
本記事はあらすじやおすすめポイント、ネタバレありで映画に対する評価や感想などを解説しています。
あらすじ
ある真夜中、マルホランド・ドライブで車の衝突事故が発生。ただ独り助かった黒髪の女は、ハリウッドの街までなんとか辿り着き、留守宅へ忍び込む。すると、そこは有名女優ルースの家だった。そして、直後にやってきたルースの姪ベティに見つかってしまう。ベティは、とっさにリタと名乗ったこの女を叔母の友人と思い込むが、すぐに見知らぬ他人であることを知った。何も思い出せないと打ち明けるリタ。手掛かりは大金と謎の青い鍵が入った彼女のバッグ。ベティは同情と好奇心から、リタの記憶を取り戻す手助けを買って出るのだが…。
Yahoo! 映画
おすすめポイント
- 難解なストーリー展開
- 各所に散りばめられた謎
- ホラー的な変な人
感想・解説(ネタバレあり)
3.9
良かった点・気になった点
デヴィッド・リンチの作品は初めてですが、最後まで観終わっても全てを理解できていません。結末を見るからにおおよその検討はつきますが、これを初見で理解するのは無理です。
おそらくほとんどの人が解説記事などを読んだと思いますが、それを見てもイマイチって人もいるのではないでしょうか。それほどややこしい感じですが、きっちりと練られた脚本が良く、難しい事が面白い。
ストーリー自体は暗めの雰囲気でずっと進んでいきます。割と中盤の方までは普通なので、そこまでは他の映画と変わりないですが、途中から少し違和感のあるシーンなどがちらほら。
そして最後の30分はもう怒涛の展開の連続。次から次へと謎が出てくるので、世界観に入り込んで集中して見ていました。彼の独特の世界観はやっぱり彼にしか出せない持ち味だと思います。
映画『マルホランド・ドライブ』鑑賞
— ふぃる@自由気ままな映画ブログ (@film_studio3000) February 28, 2021
これはなかなかの難解な映画ですよ。最初はいいんですが、最後の30分からはもうわけわからん。解説記事など見ましたが、いろんな考察がありすぎて、ここまで考察が分かれる映画はそうないと思います。2回観ても理解できるかどうか… pic.twitter.com/igSWgGzNcf
個人的には難解な映画は好きなので、深い部分まで描かれた内容を考察するのが好きですが、今まで観てきた中でもなかなかの難しさ。時系列や登場人物までもが変化するので…
そして今作では主人公の女性二人のベッドシーンも多く描かれており、かなりこだわっていました?。普通に全裸になるし、まさかそういう展開になるとは思わず、びっくりです。
まあそれがなきゃ後々のシーンに繋がってきませんから、重要なシーンと言ってもいいでしょう。
最後まで観てから最初の方のシーン思い出すと、徐々に整理がつくかもしれません。一体どういう事なのか?後程解説していきます。
一体どういう事なの?
他の方の記事でも書かれていますが、今作は前半と後半に物語が分けられます。前半は《輝かしい成功を収めるベテの夢》そして後半は《田舎から出てきて打ちのめされてるダイアンの現実》。
つまり青い箱を開けるまではベティの夢だったのです。まあベティという名前は夢の中での名前であり、本名はダイアン。夢と現実では名前が違っているので少しややこしい部分です。
そして時系列的には前半と後半が入れ替わっており、映画のラストでカミーラに嫉妬したダイアンが殺し屋に彼女を殺すよう依頼します。それが映画冒頭でカミーラが殺されそうになったシーン。
しかし時系列が逆とは言いましたが、厳密に言うとちょっと違います。前半はベティ(ダイアン)の理想の夢なので現実ではありません。現実ではカミーラは死んでいます。
なので分かりやすく言うと時系列が逆と言えますが、実際は夢なので前半部分はすべて嘘になります。映画の中でもそれを暗示するようなシーンもあり…
ウィンキーズで殺し屋とダンが会話をしている時に、ベーコンが消えていたりします。ウエイトレスの名前も違っていたりと、現実のダイアンが作った夢だとわかります。
そして後半は現実のダイアン。田舎から出てきたものの、鳴かず飛ばず。カミーラとはオーディションで出会いますが、彼女の方が女優としては上手。小さい役はもらえたりしますが、なかなか成功しません。
監督のデヴィット・リンチも「ハリウッドの闇を描きたかった」と言っており、そういった現実から解放されたいという願望が、彼女の理想の夢を作り上げてしまったのではないでしょうか。
実際にハリウッドでの成功を目指し、田舎から出てくる人も多いようですが、売れない人はウェイトレスのバイトなどをしながら生活している人も多いそうです。
そういった意味でも、後半のシーンで映ったウエイトレスの名前がベティ。前半で映ったウエイトレスの名前がダイアンだったのではと考えます。
名前が夢と現実で変化しているのも、ややこしくしている要因の一つだと思います。
前半(夢) | 後半(現実) |
---|---|
ベティ | ダイアン |
リタ | カミーラ |
ココ(近所の人) | ココ(アダムの母親) |
ウェイトレス (カミーラ) | ウェイトレス (ベティ) |
これだけ見るとそんなに入れ替わっちゃいないですが、途中からリタの髪形がベティに似てきたりなど不可解なシーンも。これはベティ(ダイアン)がカミーラになりたいという願望の現れかと思います。
さらに劇中では老夫婦やカウボーイ、謎のヤバイ人物なども出てきており、老夫婦は一般の人を表わしているのと感じます。
二人は変に高笑いしており、ベティ(ダイアン)の前では頑張ってと応援していましたが、どうやら裏では成功しないだろとどこか軽蔑している様子。そんな世間の冷たい目を表現しているのではないでしょうか。
そしてカウボーイは死を表わしており、途中出てきた時には一瞬で消えていましたよね。それが現実でないという事がわかりますし、ベティ(アイアン)に目覚めよと言っているシーンも。
最後は店の裏手にいたやばい人物。最初のシーンまじでホラーですよ。初見の人が見たら絶対驚きますし、まじで本怖でも通用しますよあのシーンは。
その人物は恐怖を表わしており、夢の中でダンという人物を作ったダイアン。彼は変な夢を見ていると言い、さらに裏手に回りその人物と遭遇。ばったり倒れます。つまり夢から目覚める恐怖を表現しているのです。
映画を読み解く10のヒント
- 映画の冒頭に、特に注意を払うように。少なくとも2つの手がかりが、クレジットの前に現れている。
- 赤いランプに注目せよ。
- アダムがオーディションを行っている映画のタイトルは? そのタイトルは再度誰かが言及する?
- 事故はひどいものだった。その事故が起きた場所に注目せよ。
- 誰が鍵をくれたのか? なぜ?
- バスローブ、灰皿、コーヒーカップに注目せよ。
- クラブ・シレンシオで、彼女たちが感じたこと、気づいたこと、下した結論は?
- カミーラは才能のみで成功を勝ち取ったのか?
- Winkiesの裏にいる男の周囲で起きていることに注目せよ。
- ルース叔母さんはどこにいる?
①映画の冒頭の手がかり
映画冒頭では謎のダンスシーンがありますが、あれは現実のダイアンがダンス大会で優勝した時のもの。両親らしき人と笑顔で映っています。
そしてもう一つはその後映った赤いベッドのシーン。何者かが眠っていますがおそらくこれがダイアン。ダンス大会の夢でも見ているのでしょう。
②赤いランプ
ダイアンの家にある赤いランプの側にある電話。カミーラがダイアンをパーティに誘った時に赤いランプがありますが、マフィアたちが数珠つなぎで電話を掛けた最後に赤いランプと黒い電話。
同じダイアンの部屋の電話に見えますが、一方はタバコが大量に置かれた灰皿が映っており、この部屋は別の部屋の可能性があります。
③アダムのオーディションの映画タイトル
映画のタイトルは『シルヴィア・ノース物語』。アダムの家でのパーティでココが話をしています。夢では金髪のカミーラ・ローズがオーディションを受けていますが、アダムは見学に来ていたベティ(ダイアン)をずっと見ています。
ダイアンはオーディションに自分が受かりたいという願望の表れかもしれません。
④事故の起きた場所
事故が起きた場所はマルホランド・ドライブです。現実ではダイアンが車でアダムのパーティ会場に向かいますが、近道だと言って途中で降ろされます。
ダイアンの夢では同じ場所で事故にあっており、パーティ会場でカミーラに屈辱を受けたので、同じ場所で彼女を殺そうとした願望が夢に表れたのだと推測します。
⑤誰が鍵をくれたのか?
青い箱の鍵は夢でリタが持っていましたが、あれは現実に戻る為の鍵。現実世界では鍵を持っていたのは殺し屋で、夢で持っていたのはリタ。夢でリタが持っていたのは殺し屋のリタ(カミーラ)に対する殺意だと考えます。
⑥バスローブ・灰皿・コーヒーカップ
ダイアンは最後に自殺しますがそのとき着ていたのはバスローブ。しかし夢の中でベティとリタが女性(ダイアン)の死体を発見した時の姿は黒いドレスでした。
灰皿はダイアンの家に置いてあったピアノ型の灰皿の事だと思われますが、部屋を交換した女性がダイアンの部屋を訪れた際、自分の物だと言って持ち帰ります。
この時点では部屋を交換していないと推測。ケンカをした後に交換して、すぐに殺し屋に依頼できるとは思えないから。ケンカをしたのが交換前なら取りに来る余裕はあったはず。
それを考えるとケンカした後に部屋を交換したと考えられ、それだとケンカした時に灰皿があった説明がつかないのです。つまり回想シーンが曖昧だったというわけ。自分でも書いていてよくわかりませんが…。
茶色いコーヒーカップは夢と現実の両方で出てきます。最初に夢で殺し屋とダンが話している時。現実で殺し屋とダイアンが話している時。そして現実でダイアンの家にありました。
⑦クラブ・シレンシオで感じた事
クラブ・シレンシオでは女性が歌っていましたが、その内容はダイアンのカミーラに対する気持ち。その事で涙を流す二人ですが、リタはすごく泣いてくれました。その満足感と二人で死にたいという感情が青い箱を登場させたのです。
⑧才能のみで成功を勝ち取ったか
夢ではベティが異様なまでにごり押しされていましたが、現実でもカミーラが不自然に成功を勝ち取ったと見受けられるシーンが。アダムのパーティでココは映画の話をしますが、アダムとカミーラはそれを嫌がっている様子でした。
⑨ウィンキーズの裏で起きている出来事
これは先程も話しましたが、店の裏にいたやばい人物。あれはダイアンが夢から覚める恐怖を表わしています。
⑩ルース叔母さんはどこ?
夢では叔母さんは「カナダで映画の撮影」と言っていましたが、空港やダイアンの家で叔母さんらしき人がいるのが確認されているので、常にダイアンのそばにいたと推測されます。
しかし現実でのダイアンの叔母は亡くなっているので、どういう見解かは正直わかりません。
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